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君のいない街

散文

君のいない街にぼくはひとりで今も変わらぬ日々を暮らしていて、ただ違うのはひとりぽっちで膝を抱えているということ。

 
君が隠していた闇も手の中に包み込んでしまいたいのに、それはもう叶わないと知っている。
 
いままで言えなかった「ごめんね」と「ありがとう」が、今にも溢れ出しそうで、言わないと溺れてしまいそうなのに、喉の奥で言葉は絡んだままで心が叫んでいる。
早く早く、君に伝えなくちゃならないのに。

テキストサイトだったころの私

散文
お友達の書いていたブログを読んでふと思い出した。

coolでtokyo取れると嬉しいとか、右クリック禁止してみたりだとか

背景色と同じ色のリンクを隠して入り口探させたりとか。

 

……まぁ、この辺りでどういうサイトをやっていたか、察しのつく方も大勢いらっしゃるでしょうね。

 

javascriptでパスワード要求してみたりだとか、ウェブリングとか。

懐かしいし、あの頃作っていたサイトのソースは今でも残してある。

無料の素材サイトも殆ど無くて、自分でスキャナを使ってレースの背景なんて作ってたな。

それからたくさんの言葉を覚えた。

静謐とか、劣情、紫煙、言えないような言葉もたくさん覚えた。

 

そして個人の手打ちHTMLサイトが終焉に向かう頃運営していた、

FAKE?のファンサイトはヤフーで検索するとオフィシャルより先、一番上に表示されるのが嬉しかったな。(単にサイト名の最初に0という数字が入っていたから…)

その頃もよく自分でサイトの素材を作っていた。

 

今はもうあの時みたいなアングラな感じのインターネットではなくなって、

南条あやもいなくなって、

それでも昔みたいに顔写真や日記の内容から住所特定なんていう怖さも残っていて。

なのにその怖さを知らないで使っている世代もいて。

 

 Googleが日本でサービスを開始して、Amebaが台頭してlivedoorがなくなって。

 

いつの間にかSNSというものにインターネットは侵略されて

情報が氾濫しだした。そして反乱している。

 

いつかこのインターネットの成熟期が終わって他の手段に移る頃、

私は生きているだろうか。

パソコン通信がインターネットになってダイアルアップがISDNも使えるようになって、

ピーヒョロロ〜を聞かなくなって、光回線になって、今はWi-Fiが飛び交ってる。

 

この速さで進むシステムを看取ってきた。

水無月絲乃芙という名前も使わなくなって、ハンドルネームというものがほとんど意味を成さなくなった今。

 

あの頃あの場所で騒いでいた仲間だった人たちを思う。

今もインターネットの片隅で墓標のように来訪者を待つサイト。

 

私もいつか思い出して貰える人となれるのだろうか。

本当に届けたいもの

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バレンタインの三日ほどのち、いつもの喫茶店にいつもは持たない物を持って行きました。

それは、いつ行っても私にとって心地よいサービスを提供して下さる、大切な方への贈り物。


アイラウィスキーは飲んだことがないとのことだったので、定番のお酒から。

ゆったりと手紙をしたためたくて、家から万年筆と便箋、封筒を持って出た。
万年筆はLAMYのもの。詰めてあるインクは色彩雫の松露。
便箋と封筒は鳩居堂のもの。年下の女の子たちに送るお便り以外にレターセットを使うことはありません。

コーヒーを注文してしばらくするとこのカップに淹れられて出てきました。
まるで「絵になるだろう?」とでも言わんばかりの誂え。

このコーヒーを淹れてくだすった方への贈り物。
カウンター越し、見られないようにとお手紙を書いて。お酒は付属品。本当はただ、手紙を書きたかった。

あの人の肩が軽くなって、さみしい背中を見せなくて済むように。

また、お便りしますね。

6:13

散文

陽射しの届く少し前、響くアルペジオ

あなたと出会った理由を教えてくれるように、その音はひたすらに優しく二人を埋めた。
出会ってもうどれだけの夜を二人乗り越えてきただろう。
朝が来る前に夜からそっと抜け出した日もあった。
悲しみ、喜び、分かち合う想い。
ふと思うこの出会いの意味。
きっと出会えたことが全てで、それだけでいいのだと。
二人なぐさめあう夕方、夢のようにきらめいた夏のしぶき。
同じ季節は二度と巡ってこない。
次のその季節、一緒に居るかどうかも定かではない、何の約束もない関係。それが互いに心地よいのだと、そう思うことで。
わたしはあなたの所で愛を紡ぎたいといつしか思うようになった。
あなたの言葉に触れるたび、わたしの世界は眩しくなって、一つ一つの言葉がわたしの季節に色をつけた。
二度とはない、同じ時間なんて。
そんな夜を繰り返してあなたとどこへ向かいたいのか。
あなたの体温が分かる距離にずっと居たいと願うわたしのわがまま。
あなたの求めるものをわたしは持っているかしら、差し出せるのかしら。
あなたはわたしに様々なことを教えてくれた。
それまで何も信じることの出来なかったわたしもあなたの事を信じてから、この世界を信じられるようになった。
夜の高速道路、絶え間なく流れるテールランプの光。昼の公園、水に当たって跳ね返る流れる光。
あなたの見せてくれた輝くものたち、わたしは両手に抱えきれないほど持っていて、あなたの両手が空になってしまっていないか心配する。
夢ならどうか覚めないで。
ねぇ、わたし気づいたわ、あなたの事を愛してい

陽炎

散文

何もかも受け入れそれを真実だと思っていた時を過ぎ、

世界は広く、到底理解できるものだとはないと知った時、だたそこに陽炎が揺らめいて。

狭い世界のなか生きてきた人間は時が経つと急に広い世界へと放り出される。

広い世界への知識も何もない。

ただ、放り出される。

そこに揺らめく陽炎に必死に手を伸ばし、確実なものだと思い掴もうとする。

ここにいくつかの質問が並べられ、自分の思う正解を答えればそれは不正解とされる。

何も確実なものなどないのだと心底思うことになる。

それでも心臓は脈打ちこの瞬間も生きることを余儀なくされている。

広い世界の誰かの手によって。

爪を赤く塗ったって、真っ白な世界を望んだとて、広い世界の何者かによって全てが破壊されていく。

破壊されていく、草すら生えない荒廃した地へと。

それでも脈打つ心臓を止めることすら許されない。

どれほど言葉を上手く操ったとて陽炎を掴もうと取り縋るだけだ。

広い世界に放り出した者は誰に咎められることもなくそこへ佇み手を振る。

 

地図どころか道も何もない荒廃した地を這いずり回り、脈打つ心臓が痛いと訴える。

 

広い世界で得るものなど、痛みの刺と空虚な笑い顔だ。

誰かが壊してくれることを願う。

そこに自分など欠片もない。

 

広い世界へ放り出した者に愛情があったのなら。

愛する術を教えてくれていたのなら、荒廃した世界を緑で埋め尽くす言葉を教えていてくれたのなら、指先を掠める物の掴み方を知らせてくれていたのなら。

けれど広い世界へ放り出した者も、何の術も持たなかったのかもしれない。

 

広い世界は眼前に広がりつつけ心の水分はどんどんと失われていく。

灼熱の刃で焼き切れる胸。

鼓動は止まない。

この広い世界で呆然と立ち尽くし走る鼓動を抑え無害である者として何の武器も持たず生きる他ない。

 

誰かが作り上げた広い世界など、自ら壊して作り直せばいいと知りながら、無力さに打ちひしがれ、広い世界を否定し続け緑も愛もない世界を彷徨い歩く。

 

その、一歩を踏み出すこともできずに。

ゆめ、ゆめ、ゆめ?

散文

走る、走る、走る。

 
現実とも夢ともつかない世界をただひたすらに走る。
そこには舗装されていない濡れた泥の道が続いている。
足は何度もその泥に絡め取られ、脛には跳ね上げ濡れた泥がこびりついていく感覚がある。
思うように前へ進めない。
けれど走る、走る、走る。
 
後ろから黒い靄のかかった人型の何かが押し寄せてくる。
逃げているのか。
 
そうか、私は逃げいるのだ。
 
何が現実だ?
何が夢の世界だ?
 
境界線は曖昧でこの世界もあちらの世界も大差ない。
指先が空を切り後ろからは、黒い、黒い、靄の、ような。
逃げる。
その闇を私は到底受け入れることなどできない。
 
自分自身の中にあり、他人からも向けられるその闇を受け入れ咀嚼すること、抱えることなど。
私には出来ない、したくもない。
 
走る、走る、振り切り走る。
この世界は夢と現実で溢れている。
どちらも人を追い詰め苦しめる、そういった人の憎しみや妬み嫉みや、理由なき不安や恐怖で満ち満ちている。
誰ものこの世界を止められない、壊せない。
 
夢か現か、どちらも真実だ。
偽物も本物も、どちらも真実だ。
 
あなたも私も、曖昧な境界線の上でダンスを踊って、走っている。
何も見たくないと、願いながら。

大好きなの。愛してるの。

好きなもの
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シャネルの口紅のこのデザインが好き。
幼い頃からの憧れだった。

簡単に手に入れられるようになった今、それでも私はこのフォルムに憧れ続けている。愛している。

私の強い味方。